癒される!横須賀美術館【運慶】展覧会の見どころ

横須賀美術館の企画展
運慶うんけい 鎌倉幕府と三浦一族みうら いちぞく

2022年7/6(水)〜2022年9/4(日)
休館日 8/1日(月)

疑問うさぎ
疑問うさぎ

どんな展覧会?

筆者 まふね
筆者 まふね

運慶とは、
仏像界のスーパースター仏師。
神奈川県 横須賀市内にある運慶・運慶工房がつくった仏像などを展示しているよ

カッコイイ仏像や貴重な文化財を楽しみながら
神奈川県 三浦半島の歴史と文化や
運慶の東国での活躍がわかります。

仏像好きイラストレーターの筆者が、見どころを楽しくお伝えしますね。

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おもな見どころ

①会場に入るまでの楽しみ

オーシャンビューからの、仏像

横須賀美術館はとても美しい建築物。

横須賀美術館の外観写真

そして、ロケーションがめちゃくちゃ素敵!エントランスからは海が見えます。

絵美術館エントランスから見える海の写真

海を見て解放されたココロで仏像に会える。こんな嬉しい仏像展はそうそうありません。

会場入り口のパネル

展示されている仏像が、写真撮り放題で嬉しい!

会場入り口の展示パネル。仏像が並んでいる

たくさん撮って、この記事に使わせて頂きました。

②大迫力!運慶の仏像など

今回のメインアクトとなる、運慶と三浦氏関連のお像。おもだった仏さまの画像です。

常楽寺 毘沙門天立像、満昌寺 三浦義明像、満願寺 観音菩薩立像の画像


画像の左から

常楽寺じょうらくじ 毘沙門天立像
(運慶作 重要文化財)
満昌寺まんしょうじ 三浦義明みうら よしあき ※7/31まで
(重要文化財)
満願寺まんがんじ 観音菩薩立像
(運慶工房作か? 重要文化財)

美しくて大きくて、大迫力。感動必至です。

③その土地ならではの仏像や文化財

運慶が来る前、そして去った後にも
三浦の地には脈々と文化の花が咲き続いていました。

地域ならではの仏さまたちや貴重な文化財は、個性があって魅力的!
知的好奇心も満たしてくれます。

詳しくははルポに書きました。

④大河ドラマがおもしろくなる

展覧会のタイトルにもある「三浦一族」は
11~12世紀ごろに神奈川県の三浦半島あたりで勢力を持った、武士の一族です。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場しています。

・三浦 義村(みうら よしむら)
→山本耕史さん
・三浦 義澄(みうら よしずみ)
→佐藤B作さん

ドラマを視聴している方はお二人のお顔を想像して展示を見れば、すごく楽しめます。
まだご覧になっていない方も、これを機会に三浦氏に注目すれば、楽しく視聴できちゃいますよ。

どんな展覧会?開催意義

会館15周年記念 800年遠忌記念特別展
「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」

この正式名称をひもときます。

会館15周
横須賀美術館は、神奈川県横須賀市が運営する美術館。
市制100周年を記念して2007年に建てられました。その開館から15周年の記念の特別展で、市内の仏像や文化財を展示するのですね。

800年遠忌
遠忌とは、無くなって長い後に行われる仏事のこと。
運慶の没年は1123年。それから800年目ということですね。

鎌倉幕府と三浦一族
この展覧会は、神奈川県立金沢文庫(博物館)にも巡回します(10/7~)

神奈川県立鎌倉文庫
→鎌倉幕府ゆかりの仏像
横須賀美術館
→三浦一族ゆかりの仏像

それぞれ違う所に重点を置くのだそうです。両方で一つの展覧会みたいな感じでしょうか。

金沢文庫の方もぜひ見に行きたいですね。

大河ドラマで鎌倉周辺の仏像が盛り上がって、ファンには嬉しい限りです。

ルポ

さてここからはルポになります。
これから行かれる方にはネタバレになる可能性もありますので、ご注意くださいね。

アクセス中すでに癒やされている

行ってみてわかりましたが、美術館だけでなく、道すがらも海が見えました。

京急線「馬堀海岸」駅からバスに乗り、山沿いの道を走ります。
視界が開けると、そこは海!

美術館に着くまでの道。海が見える

釣り船屋さんや漁業組合、お魚の直売所が旅情を誘います。

横須賀美術館の過去の企画展を見てみると絵画展が多く、仏像展は珍しいようです。
海の癒しからの仏さま!仏像ファンにとっては、貴重な機会です。(仏像は山がちな所にありがち)

また美術館の建築がめちゃくちゃ素敵。丸い窓から海が見えてオシャ。
数々の名建築を手掛ける「山本理顕(やまもとりけん)」設計工場の設計による建物です

美術館の中の画像。丸い窓から海が見えておしゃれ。

運慶以前の仏像

展示室1は、運慶が来る前の、三浦半島の文化財です。

「三浦が育んだ文化の土壌があって、運慶が来たんだぜ」
山本耕史さんが、筆者の脳内で語りかけます。

満昌寺 三浦義明像(重要文化財)

源頼朝に従って討ち死にした、三浦氏の長。
神格化されてお像がつくられたと考えられるそうで、凄みと神々しさがあります。

満昌寺 三浦義明像の写真

大善寺 天王立像

舞うように美しい武将像です。驚くことに、岩手県 中尊寺金色堂のお像に似ているといわれます。

大善寺の天王立像と、中尊寺の天王立像画像
左:大善寺のお像、右:中尊寺のお像

三浦氏は、東北の覇者 奥州藤原氏が誇る、中尊寺の様式を取り入れていたのでしょうか

筆者の脳内で、山本耕史さんと田中泯さん(藤原秀衡)の顔が並びます

ほかにもおもしろかったのが、舶来品の青磁器
景徳鎮けいとくちん(古代中国で宮廷に献上する焼き物を作った街)産とおもわれる、当時最先端の高級品です。
画像がないのでぜひ展示をご覧くださいね。

「運慶の前から三浦はすごかったんだぜ」(山本耕史さん

運慶が、三浦に来た!

展示室2は、この展覧会の目玉といっていいでしょう。
入るとドドンとそびえたっているのが

常楽寺 毘沙門天立像、不動明王立像(運慶作 重要文化財)

常楽寺 毘沙門天立像の画像
常楽寺 毘沙門天立像

これが、三浦の運慶仏。

堂々と逞しく、力強いまなざし。
鎌倉武士が運慶の仏像を好んだ理由がよくわかります。

大きな体ですが、お顔、手、衣などの細部には繊細な美しさも感じられます。
カリスマ仏師の超絶技巧に、観覧者はくぎ付けです。

関西で運慶仏をご覧になったことがある方は、
「ここ東国でも確かに活躍していたのだな」と、感動があるかもしれませんね。

お次は運慶工房作と考えられている仏像です。

満願寺 観音菩薩立像、地蔵菩薩立像(運慶工房作? 重要文化財)

満願寺 観音菩薩立像
満願寺 観音菩薩立像

高さ2m!大迫力の2尊です。さすが運慶関連の仏像で、素人目にもわかる確かな技術と美しさです。

おもしろかったのが、
先の運慶作の仏像とは色が違う事。

運慶作の仏像は、黒っぽいです。
これは金箔や彩色がはがれて、下地のが見えているのだと思います。

一方の工房作は、黄土色っぽいです。
下地に高級な漆をふんだんに使うことはできなかったのかな…?と想像しました。
鎌倉を歩くと、この黄土色っぽい仏像をよくお見掛けします。
鎌倉でよく使われた下地の色なのでしょうね。

やはり運慶は、別格。

個性が魅力の仏さまたち

清雲寺 毘沙門天立像

清雲寺 毘沙門天立像
清雲寺 毘沙門天立像

ぱっとみたとき不思議な感じがしました。あれ?
あ、はだしだ!

清雲寺 毘沙門天立像の足

このような武将像は、たいてい靴をはいています。さきの運慶の毘沙門天の足

常楽寺 毘沙門天立像の足

この裸足は、仏像ファンからすると地方仏ならではの個性といったところで、たまりません。
お顔はぷっくりと童顔で愛らしく、カブトは取り外せるのだそうです。おもしろい仏さまですね

曹源寺 十二神将立像(重要文化財)

運慶に関係する仏師の作と考えられ、すごくきれいな十二神将さまです。

曹源寺 十二神将立像
曹源寺 十二神将立像

江戸の書物に人だかり

頭に干支の動物がついていますが、当初の物は失われ、江戸時代に本来と違う動物がつけられてしまったお像もあります。
自分の干支を探してみると、楽しいですね。(筆者の干支の酉は、かわいい犬がついてました)

展示の最後に江戸時代の書物があり、魅入っている人がたくさんいました。

江戸時代の、挿絵入り小説とでもいうべき読み物に、三浦一族の活躍が描かれているものでした。
挿絵のイキイキとした姿の、魅力的なことといったら!

運慶、三浦一族の繁栄も過去になった江戸時代。三浦一族の活躍は絵物語に綴られ、語り継がれていたのです。

「三浦に栄光あれ」(山本耕史さん)

画像が提示できませんので、会場でお楽しみくださいね。

お土産がステキでやさしい

会場を出てお土産売り場へ。絵葉書、ステッカー、クリアファイル、手ぬぐい、Tシャツなど素敵なグッズがたくさんありました。

お土産売り場の写真

イラストレーター・著述家の田中ひろみさんのグッズや本が、画像の棚の1/6を占めていました。
田中さんは関西の有名な仏像だけでなく、広くいろんな地域の仏像にも目を向け活動されていて、とても尊敬しています!

筆者はこのかわいくおしゃれなクリアファイルをゲット。

クリアファイルの画像


A5サイズ、220円。
220円?
や、やさしいお値段!(こういうの800円くらいで売ってることあるよ!)
ほかのお品も全てお手頃価格でした。

横須賀、やさしい、好き。

レストラン


美術館併設のレストラン「アクアマーレ」が、ビューよし味よしでめちゃくちゃ人気です。

東京 南青山が本店の「リストランテ アクアパッツァ」のシェフが、総料理長。

ランチメニューはパスタ1,400円、ピッツァ1,600円、ランチコースが3,500円くらい。単品メニューやデザート・ドリンクセットも。

筆者は時間がなくて入れませんでしたが、お客さんみなさんの幸せそうな顔ったら…。

鑑賞後に一息、最高である事まちがいなし。

まとめ、会場を出て…

美術館を出て、海を眺めて

この地に確かに、うつくしい文化が花開いていたのだな、と感動を噛み締めます。

帰りのバス停で、同じく観覧後のおばあちゃんたちの会話

「仏さまたち一同に見られて、嬉しいわね、素晴らしかったわね」

「ほんと。今度はお寺にも見に行きましょうよ」

「そうね、展覧会で近くてよく見えるのもいいし、お寺の薄暗い中で見るのもいいのよね」

「そうそう、そうなのよーー」

混ぜて下さい。

最後まで癒された、三浦の地の仏像展なのでした。

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この記事を書いた人
真船きょうこ

イラストレーター・漫画家/仏像描いて10余年 ▶︎京都で日本画や仏像史を学ぶ→デザイナ→漫画家 ▶︎著書に『仏像に恋して』『彼と彼女のヒストリごはん』など ▶︎静岡生まれの関東在住、絵画講師、一児の母。詳しくはこちら

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