横須賀美術館の企画展
「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」
2022年7/6(水)〜2022年9/4(日)
休館日 8/1日(月)
![疑問うさぎ](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2021/08/question.jpg)
どんな展覧会?
![筆者 まふね](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2021/08/talk-icon.jpg)
運慶とは、
仏像界のスーパースター仏師。
神奈川県 横須賀市内にある運慶・運慶工房がつくった仏像などを展示しているよ
カッコイイ仏像や貴重な文化財を楽しみながら
神奈川県 三浦半島の歴史と文化や
運慶の東国での活躍がわかります。
仏像好きイラストレーターの筆者が、見どころを楽しくお伝えしますね。
おもな見どころ
①会場に入るまでの楽しみ
オーシャンビューからの、仏像
横須賀美術館はとても美しい建築物。
![横須賀美術館の外観写真](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-14.jpg)
そして、ロケーションがめちゃくちゃ素敵!エントランスからは海が見えます。
![絵美術館エントランスから見える海の写真](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/IMG_2182-1024x768.jpg)
海を見て解放されたココロで仏像に会える。こんな嬉しい仏像展はそうそうありません。
会場入り口のパネル
展示されている仏像が、写真撮り放題で嬉しい!
![会場入り口の展示パネル。仏像が並んでいる](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-03.jpg)
たくさん撮って、この記事に使わせて頂きました。
②大迫力!運慶の仏像など
今回のメインアクトとなる、運慶と三浦氏関連のお像。おもだった仏さまの画像です。
![常楽寺 毘沙門天立像、満昌寺 三浦義明像、満願寺 観音菩薩立像の画像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-18.jpg)
画像の左から
・常楽寺 毘沙門天立像
(運慶作 重要文化財)
・満昌寺 三浦義明像 ※7/31まで
(重要文化財)
・満願寺 観音菩薩立像
(運慶工房作か? 重要文化財)
美しくて大きくて、大迫力。感動必至です。
③その土地ならではの仏像や文化財
運慶が来る前、そして去った後にも
三浦の地には脈々と文化の花が咲き続いていました。
地域ならではの仏さまたちや貴重な文化財は、個性があって魅力的!
知的好奇心も満たしてくれます。
詳しくははルポに書きました。
④大河ドラマがおもしろくなる
展覧会のタイトルにもある「三浦一族」は
11~12世紀ごろに神奈川県の三浦半島あたりで勢力を持った、武士の一族です。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場しています。
→山本耕史さん
・三浦 義澄(みうら よしずみ)
→佐藤B作さん
ドラマを視聴している方はお二人のお顔を想像して展示を見れば、すごく楽しめます。
まだご覧になっていない方も、これを機会に三浦氏に注目すれば、楽しく視聴できちゃいますよ。
どんな展覧会?開催意義
会館15周年記念 800年遠忌記念特別展
「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」
この正式名称をひもときます。
会館15周
横須賀美術館は、神奈川県横須賀市が運営する美術館。
市制100周年を記念して2007年に建てられました。その開館から15周年の記念の特別展で、市内の仏像や文化財を展示するのですね。
800年遠忌
遠忌とは、無くなって長い後に行われる仏事のこと。
運慶の没年は1123年。それから800年目ということですね。
鎌倉幕府と三浦一族
この展覧会は、神奈川県立金沢文庫(博物館)にも巡回します(10/7~)
→鎌倉幕府ゆかりの仏像
横須賀美術館
→三浦一族ゆかりの仏像
それぞれ違う所に重点を置くのだそうです。両方で一つの展覧会みたいな感じでしょうか。
金沢文庫の方もぜひ見に行きたいですね。
大河ドラマで鎌倉周辺の仏像が盛り上がって、ファンには嬉しい限りです。
ルポ
さてここからはルポになります。
これから行かれる方にはネタバレになる可能性もありますので、ご注意くださいね。
アクセス中すでに癒やされている
行ってみてわかりましたが、美術館だけでなく、道すがらも海が見えました。
京急線「馬堀海岸」駅からバスに乗り、山沿いの道を走ります。
視界が開けると、そこは海!
![美術館に着くまでの道。海が見える](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-02.jpg)
釣り船屋さんや漁業組合、お魚の直売所が旅情を誘います。
横須賀美術館の過去の企画展を見てみると絵画展が多く、仏像展は珍しいようです。
海の癒しからの仏さま!仏像ファンにとっては、貴重な機会です。(仏像は山がちな所にありがち)
また美術館の建築がめちゃくちゃ素敵。丸い窓から海が見えてオシャ。
数々の名建築を手掛ける「山本理顕(やまもとりけん)」設計工場の設計による建物です
![美術館の中の画像。丸い窓から海が見えておしゃれ。](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-16-862x1024.jpg)
運慶以前の仏像
展示室1は、運慶が来る前の、三浦半島の文化財です。
「三浦が育んだ文化の土壌があって、運慶が来たんだぜ」
山本耕史さんが、筆者の脳内で語りかけます。
満昌寺 三浦義明像(重要文化財)
源頼朝に従って討ち死にした、三浦氏の長。
神格化されてお像がつくられたと考えられるそうで、凄みと神々しさがあります。
![満昌寺 三浦義明像の写真](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-06.jpg)
大善寺 天王立像
舞うように美しい武将像です。驚くことに、岩手県 中尊寺金色堂のお像に似ているといわれます。
![大善寺の天王立像と、中尊寺の天王立像画像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-17.jpg)
三浦氏は、東北の覇者 奥州藤原氏が誇る、中尊寺の様式を取り入れていたのでしょうか
筆者の脳内で、山本耕史さんと田中泯さん(藤原秀衡)の顔が並びます
ほかにもおもしろかったのが、舶来品の青磁器。
景徳鎮(古代中国で宮廷に献上する焼き物を作った街)産とおもわれる、当時最先端の高級品です。
画像がないのでぜひ展示をご覧くださいね。
「運慶の前から三浦はすごかったんだぜ」(山本耕史さん)
運慶が、三浦に来た!
展示室2は、この展覧会の目玉といっていいでしょう。
入るとドドンとそびえたっているのが
常楽寺 毘沙門天立像、不動明王立像(運慶作 重要文化財)
![常楽寺 毘沙門天立像の画像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-08.jpg)
これが、三浦の運慶仏。
堂々と逞しく、力強いまなざし。
鎌倉武士が運慶の仏像を好んだ理由がよくわかります。
大きな体ですが、お顔、手、衣などの細部には繊細な美しさも感じられます。
カリスマ仏師の超絶技巧に、観覧者はくぎ付けです。
関西で運慶仏をご覧になったことがある方は、
「ここ東国でも確かに活躍していたのだな」と、感動があるかもしれませんね。
お次は運慶工房作と考えられている仏像です。
満願寺 観音菩薩立像、地蔵菩薩立像(運慶工房作? 重要文化財)
![満願寺 観音菩薩立像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-04.jpg)
高さ2m!大迫力の2尊です。さすが運慶関連の仏像で、素人目にもわかる確かな技術と美しさです。
おもしろかったのが、
先の運慶作の仏像とは色が違う事。
運慶作の仏像は、黒っぽいです。
これは金箔や彩色がはがれて、下地の漆が見えているのだと思います。
一方の工房作は、黄土色っぽいです。
下地に高級な漆をふんだんに使うことはできなかったのかな…?と想像しました。
鎌倉を歩くと、この黄土色っぽい仏像をよくお見掛けします。
鎌倉でよく使われた下地の色なのでしょうね。
やはり運慶は、別格。
個性が魅力の仏さまたち
清雲寺 毘沙門天立像
![清雲寺 毘沙門天立像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-07.jpg)
ぱっとみたとき不思議な感じがしました。あれ?
あ、はだしだ!
![清雲寺 毘沙門天立像の足](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-11.jpg)
このような武将像は、たいてい靴をはいています。さきの運慶の毘沙門天の足
![常楽寺 毘沙門天立像の足](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-12.jpg)
この裸足は、仏像ファンからすると地方仏ならではの個性といったところで、たまりません。
お顔はぷっくりと童顔で愛らしく、カブトは取り外せるのだそうです。おもしろい仏さまですね
曹源寺 十二神将立像(重要文化財)
運慶に関係する仏師の作と考えられ、すごくきれいな十二神将さまです。
![曹源寺 十二神将立像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-09.jpg)
江戸の書物に人だかり
頭に干支の動物がついていますが、当初の物は失われ、江戸時代に本来と違う動物がつけられてしまったお像もあります。
自分の干支を探してみると、楽しいですね。(筆者の干支の酉は、かわいい犬がついてました)
展示の最後に江戸時代の書物があり、魅入っている人がたくさんいました。
江戸時代の、挿絵入り小説とでもいうべき読み物に、三浦一族の活躍が描かれているものでした。
挿絵のイキイキとした姿の、魅力的なことといったら!
運慶、三浦一族の繁栄も過去になった江戸時代。三浦一族の活躍は絵物語に綴られ、語り継がれていたのです。
「三浦に栄光あれ」(山本耕史さん)
画像が提示できませんので、会場でお楽しみくださいね。
お土産がステキでやさしい
会場を出てお土産売り場へ。絵葉書、ステッカー、クリアファイル、手ぬぐい、Tシャツなど素敵なグッズがたくさんありました。
![お土産売り場の写真](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-15.jpg)
イラストレーター・著述家の田中ひろみさんのグッズや本が、画像の棚の1/6を占めていました。
田中さんは関西の有名な仏像だけでなく、広くいろんな地域の仏像にも目を向け活動されていて、とても尊敬しています!
筆者はこのかわいくおしゃれなクリアファイルをゲット。
![クリアファイルの画像](https://maf-kyo.net/wp-content/uploads/2022/07/yokosuka-unkei-13.jpg)
A5サイズ、220円。
220円?
や、やさしいお値段!(こういうの800円くらいで売ってることあるよ!)
ほかのお品も全てお手頃価格でした。
横須賀、やさしい、好き。
レストラン
美術館併設のレストラン「アクアマーレ」が、ビューよし味よしでめちゃくちゃ人気です。
横須賀美術館のアクアマーレさんでランチしました♬😋 pic.twitter.com/MH5mScvb4t
— KAYi (@KAYiDesign) May 2, 2021
東京 南青山が本店の「リストランテ アクアパッツァ」のシェフが、総料理長。
ランチメニューはパスタ1,400円、ピッツァ1,600円、ランチコースが3,500円くらい。単品メニューやデザート・ドリンクセットも。
筆者は時間がなくて入れませんでしたが、お客さんみなさんの幸せそうな顔ったら…。
鑑賞後に一息、最高である事まちがいなし。
まとめ、会場を出て…
美術館を出て、海を眺めて
この地に確かに、うつくしい文化が花開いていたのだな、と感動を噛み締めます。
帰りのバス停で、同じく観覧後のおばあちゃんたちの会話
「仏さまたち一同に見られて、嬉しいわね、素晴らしかったわね」
「ほんと。今度はお寺にも見に行きましょうよ」
「そうね、展覧会で近くてよく見えるのもいいし、お寺の薄暗い中で見るのもいいのよね」
「そうそう、そうなのよーー」
混ぜて下さい。
最後まで癒された、三浦の地の仏像展なのでした。