話題の展覧会「最澄と天台宗のすべて」
略して【天台展】
東京、京都、九州にて。
東京会場の、東京国立博物館に行って来ました。
パンフレットはこんな感じ。
前情報を入れずに観にいくのが好きなので、このビジュアルを見て
「シックで品の良い、アカデミックな展覧会なのかしら…✨」
と思って会場に入ると
とんでもない
どエラいエネルギッシュで
「うぉーーー」と叫びまくってしまいました(心で)
衝撃ポイントは2つです
1、千年前、世の中を良くしようとした人たちの
凄まじい情熱とパワー
2、全国から貴重な秘仏がバンバン大集合
すごく元気を頂きまして
このような展覧会を開いて下さった皆様に
感謝感謝、申し上げます。
以下、感激ポイントを語ってまいります。
どんな展覧会なの?
今回の天台展は、こう銘打たれています
「伝教大師1200年大遠忌記念 特別展」
…難しいですね。一個ずつひも解きますと
つまり、最澄が亡くなって1200年めの節目の特別展事ですね。
それが天台宗にゆかりのある東京・京都・九州の三会場で開かれるわけです。
最澄が開き、京都の比叡山に延暦寺を創り本拠地とした、日本の天台宗。
その教えは日本文化に広く影響を与え、各地に書画や仏像などの宝物が残されました。
それら平安初期~江戸時代までの貴重な文化財を一挙公開!大規模な展覧会となっています。
では東京会場(東京国立博物館の「平成館」)の様子をお伝えしていきますね。
会場は会場スペースが大きく2つ、前半と後半に分かれています。
・前半…書画メイン。先人の偉業を知る
・後半…仏像メイン。天台宗の繁栄を知る
前半、書画メイン。先人の偉業を知る
東京会場の前半はと、仏画・絵巻物などの絵画が多く展示されています。
ずらりとならぶ高僧の絵。教科書に出てくる最澄の肖像画を見ることができますよ!
【東京会場・展示情報❗️】
— 特別展「最澄と天台宗のすべて」 (@saicho2021_2022) November 1, 2021
兵庫・ #一乗寺 の #国宝 「聖徳太子及び天台高僧像」の全十幅が #東博 展示室に並びました!いよいよ明日から11/7(日)まで、6日間限定で全十幅を同時公開‼お見逃しなく💁
⚠️11/9(火)以降は一部複製展示になります⚠️#天台展 #最澄と天台宗のすべて #最澄 #天台宗 pic.twitter.com/iYMCwS8fpE
お経や手紙などの文書は
キャプション(作品説明が書かれた小さなボード)が親切でとてもわかりやすかったです。
一見難しそうな文字が並ぶ作品でも
「最澄は色白・長身でほくろがあった」
みたいな説明もしてくれていて、古文漢文が読めない私もとても楽しく鑑賞できました!
【東京会場・展示作品】
— 特別展「最澄と天台宗のすべて」 (@saicho2021_2022) November 4, 2021
滋賀・ #延暦寺 所蔵の #国宝「光定戒牒」は、#最澄 の弟子である光定が大乗菩薩戒を受けた際、嵯峨天皇が自らが染筆した証明書。三筆の一人、嵯峨天皇の気品に満ち溢れた風格が感じられます✨是非近くでご覧ください👀#天台展 #最澄と天台宗のすべて #東博 pic.twitter.com/apIxlFpWWo
全国から貴重なお宝が集結
で、展示を見てゆくうちに、ふと気づいたのです。
「あれ?このたくさんのお宝って、全国のめっちゃいろんな所から集まってない?」
基本的には延暦寺のお膝元、滋賀・京都が多いのですが
目録(展示物のリスト。会場の入り口でもらえる)を見てみますと
兵庫、奈良、大阪、岡山、鳥取、岩手、福島、栃木、埼玉、東京、岐阜、愛知、長野、静岡・・・
わーーー全国津々浦々から!
この展覧会への意気込みを感じました。
東京会場では本州を広くカバーという感じですね。
その他の地域のお宝は京都・九州会場で見られるのでしょうか?!
また比叡山延暦寺は
戦国時代に織田信長に焼き討ちされて
貴重な寺宝がたくさん焼けてしまったんだろうな~と歴史に思いを馳せたり。。。
天台僧の入唐(爆旅)
さて、展示を進むと
最澄の弟子ゆかりのお宝が出てきます。
最澄と高弟の円仁(えんにん)、円珍(えんちん)は
最新の教えを求めて中国に留学をし、そのルートが地図にまとめられていまして
それを見て、仰天
うそ・・・これ、1000年前だよね?!
ちょっと描いてみました。
あまり正確ではないんですが、イメージとしてはこんな感じ。
円仁さんは爆走怒涛のルート。円珍さんはいきなり漂流。すさまじいです…
教科書で習う遣唐使のルートも、こんな地図でしたけど
展覧会で「このお宝を持ち帰りました」って展示と合わせて見ると
どれだけ偉業だったか、心にぐわっ!と迫ってきます。
航海技術が未発達で、大陸にたどり着けるかわからない(死を覚悟)
着いたら着いたで、広大な中国大陸の移動は徒歩(気の遠くなる重労働)
異国の言葉・文化に慣れるにも、勉学にいそしむにも、途方もない苦労と苦悩が要る…・・
この地図を見る限り、1000年前の人がどれだけすごいか、途方もない事を成し遂げたのか、思いを馳せると胸アツです。
興味のある方は一度読んで頂きたい名著が
『天平の甍(てんぴょうのいらか)』井上靖/著、1957年
奈良時代、唐から鑑真和上を日本に連れてくるのが
どれだけ困難だったか!が想像できる不朽の名作です。
我々ホモ・サピエンスは20万年前アフリカ大陸に生まれ、時間をかけて地球全体に広がりました。
天台の高僧らは1000年前、数年かけて大陸に渡り歩き回り教えを持ち帰りました。
今、我々現代人は火星に住もうとしています。
脈々と続く、広く分布しようとする本能。
それらは大きく言えば「種の繁栄」を目指しているのですけれど
ミクロで見れば、最澄ら高僧たちの行動は
新しい教えの力で、世を良くし、人々を救う事
が目的だった。
展示物をたくさん見て、キャプションを読むと、そう感じました。
最澄の生きた時代
最澄の生きた平安初期というのは、どのような時代だったのか?
平安時代といえば十二単に恋の和歌、雅なイメージですが
そのように平安京が安定するまでには、混沌の時代があったようです。
最澄と空海の活躍を描くマンガ
『阿・吽(あうん)』岡崎真理/著 (2014年 小学館)は
当時の空気のエグサ・おどろおどろしさが見てきたように描かれていて、ものすごくおすすめです!
当時の仏教というのは現代の「科学」に近かったのかな、と私は理解しています。
最澄ら高僧の心には
「人々のこのような苦しみを救うには、中国天台山のこの修法が効くらしい。
では最新の教えを学びに行こう!」
という情熱があったと思うのです。
そう思うと、一見難しそうで
興味のない人には古い書物にしか見えないかもしれない、寺宝の数々が
美しく尊い輝きを放っている!
そう感じる、前半の展示でした。
前半の見所は他にもたくさんありますが、絞ってお伝えしました。
それでは後半へ。
後半、仏像…のイントロ
前半は書画を読み解こうとして、私の脳はわりとパンパンになってきておりました。
後半もがんばれるかな?と思って足を踏み入れると
大きな仏像がドンドンドーーン!!
考えることから感じる事への転換で
一気にアドレナリン放出!
胸が熱くなり、涙がこみ上げてきました。(←仏像ファンなので…)
全国から秘仏が集結して一挙大公開!
たくさん紹介したいけれど長くなりましたので
別記事にまとめました、すみません!
最後までお読みいただきありがとうございました😊