こんにちは、仏像大好き漫画家 真船きょうこです。
今SNSなどで話題の東京長浜観音堂
「東京で…長浜?一体どんな所?」
「何ができるの?どう楽しむの?」
とお思いの方へ。
●結論
滋賀県の長浜市が東京で仏像をPRする、入場無料・期間限定の施設です。
長浜から出張展示されている、選りすぐりの仏像一尊を鑑賞できます。
イスに腰かけてゆっくりしたり、写真を撮ったりして楽しめます。
以下くわしく説明しますので初心者の方もマニアの方もお気軽にお読みください。
どんな所?期間は?
滋賀県長浜市が運営している、仏像を鑑賞できる入場無料の施設です。
場所は東京駅から徒歩5分の日本橋。
オフィスビルの一室に長浜から選りすぐりの観音像が一尊(一体)展示されじっくり鑑賞できます。
約2か月に一度 観音さまが交代されるそうなのでリピーターも楽しめます。
長浜市には素晴らしい観音像がたくさんありますが、地域のお堂にまつられている事が多く
高齢化により維持が難しくなってきているそうです。
そこで東京でPRして支援者を増やそうという市の取り組みで運営されている施設なのです。
一人でも多くの方が見て長浜の仏像の魅力を知ったり、撮影して拡散したり
楽しむ事が貢献になる素晴らしい施設です。
アクセスが良く無料で気軽に立ち寄れますし
期間限定(令和3年7月~令和4年2月)ですのでぜひ行ってみて下さいね。
見どころ
筆者なりの見所をざっと二つ挙げます。
①間近で360°鑑賞できる
観音さまはアクリルケースごしにかなり間近で360°ぐるりと鑑賞できます。
普段は見られない貴重なお背中まで近くでじっくり拝めてしまう幸せ!
至近距離で目を合わせてぽーーっと見とれるもよし、指のポーズや衣の流れ・木目など細部をじっくり見るもよし。
撮影OKなのでお気に入りポイントを見つけてパシャしちゃいましょう。
SNSをされている方はぜひ投稿を!
②解説が楽しめる
筆者が伺ったときは学芸員さんがいらして、仏像や長浜市の事をたくさんお話しして下さいました。
一つの仏像をこんなにじっくり丁寧に解説して頂ける機会は貴重でありがたく
初心者の方にはとてもわかりやすいですし、マニアの方は質問ができて知識欲が満たされます。
学芸員さんは基本的に常駐されているそうです。以下にルポを書きますので「こんな感じかぁ」と参考になさってくださいね。
楽しみ方…ルポを例に
楽しみ方は人それぞれですが、私が訪れた2021年7月のルポを例に解説してゆきますね。
中はこんな感じでした。
広さは四十五平方メートルとの事で約30畳ですね。イスが6つありゆったりとくつろげます。
学芸員さんとの会話
入ってすぐ右手には説明のパネル。長浜市の仏像の概要や今展示されている仏さまについての解説です。
学芸員さんが私に声をかけパネルに沿って楽しくお話して下さいました。
このときいらした仏さまは
聖観音立像(長浜市南郷町)長浜市指定文化財 平安時代
以下、学芸員さん(学)と私の会話を再現します。
学:この観音さまは普段は公民館にいらして地域の方が管理されています。
私:そうなんですね
学:観音さまのまつられている部屋で寄り合い(地域の方々の集まり)をするんですよ
私:え…観音さまに見守られての寄合?!さささ最高!めっちゃ参加したい、飲み明かしたいです!
学:ははは。この写真をご覧ください
私:仏さまの隣に…天照大神?!お寺や神社ではあり得ないですね!
学:お正月にはこうやって神と仏を並べて鏡餅を飾る。神と仏の分離があいまいなんですね。
私:あああーーー私のような神仏習合ファンには最高のお正月です!
どうです?リラックスしながら長浜の仏像に親しみをもてると思いませんか?
観音さまをじっくり見つめる
いよいよ観音さまとご対面。
公民館のお写真ではお顔も隠れがちで背中は見えるはずもなく、このように360°ぐるりと見られるのは大変貴重。
大切に守ってこられた地域の方々の寛大さに感謝です。
端正なお顔です。目は物静かで涼やかですが、輪郭は丸く眉はやさしげで口元には微笑。
神聖さと親しみを併せ持つこれぞ慈悲のみほとけ観音菩薩という美しさ。
筆者は仏像と対面すると、ぱっと目が合ってぼーーっと見とれていることが多いのですが
この時もまさしくそうでした。
学芸員さんもお顔の美しさを「素晴らしいですね」とおっしゃっていました。
そのほか解説して下さった事を筆者の言葉でまとめますね。
①立ち姿が美しい
身体をくの字に曲げており、前傾している。
これにより見る者に動きと立体感を感じさせ、心に迫る演出となっている。
②時代の解説
ところどころ金箔が残っているが、これは江戸時代に修復で貼ったもの。
制作されたのは平安時代後期(平清盛が活躍した時代)で、当初の姿は現在のように木の素地だったのではないかと考えられる。
胸に観音菩薩を表す梵字があり、背中には観音さまに関わった人の名前が書いてある。これらの墨書きも江戸時代のもの。
③技法の説明
頭と胴体は一本の木から彫られたた一木造で、内側をくりぬくため木を割った跡がある。
(「こことここですよ~」と教えてくださいました。)
足だけは後から補ったもの。(よく見るとわかります)
こんな風にいろいろ教えて下さったら、初心者の方もマニアの方も嬉しいですよね。
解説が終わったらフリータイム。
私は気になる細部をつぶさに鑑賞したり、好きな角度を見つけて写真を撮ったり
イスに座ってぼーっとしながら他のお客さんとなんとなく会釈したり
リラックスタイムを味わいました。
長浜市にはこのように地域の方々に大切にされている観音さまの数が100を超えるそうで
「観音の里」と呼ばれています。
なぜそのような類を見ない地域になったのか?調べてみました。
なぜ長浜は観音の里なのか
長浜と観音信仰
まず長浜市はどんな所なのかといいますと
・琵琶湖の北東に位置する人口12万人ほどの街。
・琵琶湖に浮かぶ竹生島や歴史ある建物の街並みなど美しい景観を有する。
・豊臣秀吉や石田三成ゆかりの土地であり有名な城郭や古戦場がある。
と素敵な観光資源がたくさんある土地です。
そんな長浜になぜ観音像がたくさんあるかというと
奈良時代より各地の仏教・山岳信仰など信仰が入って混ざってゆき、お寺がたくさんでき、観音信仰を基本とする独自の仏教文化ができていった
↓
戦国時代の動乱で多くのお寺が荒廃。
観音像は村々に守り本尊として迎えられてゆき、戦乱の焼き討ちの際には川底や地中に埋め大切に守ってきたと伝えられる
↓
この信仰が現代にも受け継がれており
地域の方々がお堂を守る「観音の里」と呼ばれるようになる
長浜市は古来より信仰のさかんな交通の要衝で、独自の観音信仰が栄えたのですね。
そして100を超える観音さまたちを今でも地域の方々が守る「観音の里」になったと。
市の公式サイトによると指定文化財の数が県内2位、遺跡の数は県内トップ。
観音さまたちもたくさん文化財指定されています。
有形文化財 彫刻 国指定
国宝1 重要文化財 45
長浜市HP 長浜市所在指定文化財数 平成27年4月1 より
昭和の文人 井上靖や水上勉・白洲正子も美しく綴った、美しいみほとけに会える「観音の里」長浜。
私も数年前に旅しましたが縁あって長浜市の職員さんたちがとても親切に案内して下さり、たくさんの観音さまに会えました!
美しい里山やびわ湖、優しい方たちとの思い出は色あせない宝物です。
参考…かつて東京上野にあった観音ハウス
ところでネット上でこの東京長浜観音堂とよく似た
「びわ湖長浜観音ハウス」という名称を見かけた方もいらっしゃるでしょうか?
こちらもかつて同じく長浜市が運営していた施設(2016年3月~2020年10月)で東京の上野にありました。
惜しまれつつ閉館してから9か月、再び開かれたのが今回の東京長浜観音堂(日本橋)なのです。
上野の観音ハウスについて以前ルポ漫画を描きましたので
ご興味のある方は下のバーを押してお読みください。
開館時間・アクセスなど
●開館時間は午前10時~午後6時
●休館日は月・火曜日、祝日の翌日、年末年始
詳しくは公式サイトに開館カレンダーがあるのでご覧ください。
住所は東京都中央区日本橋2-3-21
アクセスは
JR東京駅 (八重洲北口)より徒歩5分
東京メトロ日本橋駅(B3出)口より徒歩3分
大きな駅から近くて行きやすいですね。遠方の方でも東京駅を利用された際に立ち寄れそうです。
入口は飲食店とゴルフ用品店の間のここ
一歩入ると右手に看板がありますよ。4階です。
人々が集うオフィスビルの一室にある東京長浜観音堂。
現地長浜で観音さまが人々の暮らしに溶け込んでいる様子と重なって、とても素敵だと思いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
繰り返しになりますが
観音さまを見て長浜の魅力を知りったり、撮影して拡散したりと
楽しむ事が貢献になりますのでお気軽に訪れて頂きたいと思います。
観音さまは約2ヶ月に1度 交代なさるのでリピーターの方もぜひ!
なお観音文化の保存伝承にふるさと納税でも貢献できます。
「さとふる」「ふるぽ」「ふるさとチョイス」ほか
「楽天ふるさと納税」などで納税できますよ。
申し込む際に寄付金の用途を選択できます。観音堂公式サイトによれば
「歴史遺産の伝承および文化芸術の振興に関する事業」を選んで下さいとの事でした。
メッセージ欄があれば「観音文化支援」などと書き入れるとなお良いですね。
お気軽にお出かけ頂けたら嬉しいです!
参考サイト
・東京長浜観音堂 公式HP https://www.tokyonagahamakannondou.com/
・長浜・米原を楽しむ観光情報サイト https://kitabiwako.jp/post_46957
・中日新聞 https://www.chunichi.co.jp/article/230233
・観音の里長浜HP https://kitabiwako.jp/kannon-2-2/about
・長浜市HP https://www.city.nagahama.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/311/20150427-194106.pdf